スペイン世界選手権での怪我のご報告

3月12日に行われた今シーズン最終戦、スペイン世界選手権でのチームクロスのセミファイナルのレース中に右足の脛骨腓骨を粉砕骨折する怪我を負いました。
現在はバルセロナの病院にて手術、治療中です。

レントゲン写真

レースではどうしてもこなせないトゥサイドのバンクがあり、何度もイメージし、最善の状態で挑んだつもりでしたが、プレッシャーに右足が耐えられずにひざ崩れを起こしてしまい、そのまま吹っ飛んで板をぶつけたときに、全く筋力のない麻痺側の右足が折れてしまいました。

怪我した時にはすぐに、今後を揺るがす大けがをした事を感じとったし、
脊髄損傷をした時を鮮明に思い出し、無力さと悔しさで頭が真っ白になりました。

ヘルメットも全身のプロテクターも、サポーターも、すべてつけ、体も鍛え、ストレッチも行い、「怪我だけは二度としない」という強い想いで脊髄損傷後やってきました。
滑りも自分のコントロール下で滑ってきたつもりです。
怪我後は絶対に無謀な攻めはせずに、何回も石橋をたたいて渡ってきました。
それなのにひざ崩れが起きて、一発でこれかよ、と。

今はもう怪我後10日以上過ぎたので少しは頭が回るようにはなってましたが(記憶はぼんやりしてますが)、それでもまだあまりこの状況に現実味がなく、この先どうなるかもハッキリ分かっていない状況です。

ですが、何とか生きてます。

何にもない病室にて

そもそも自分はあまり心が強いほうではありません。

強くなりたいから、自分をそういう環境や立場に置くことで、そうなれるように努力し続けてきました。
嘘でも続ければ、それが本当になると信じてやってきた。

だからこそ脊髄損傷した後に、「死にたい」と思ってしまった、家族にも言ってしまった、その弱さを克服するためにここまで8年間やってました。

でもやっぱり自分は弱い。

何も変わらない病室での景色。
スペイン語しか通じない場所。
ずっと同じような病院食。
会いたい人に会えない。
ネット環境も悪く、あまり娯楽もなく、
ただ痛みをこらえて、マシな時に出来ることをして、
ただただ1人で、とにかく時間が過ぎるのを待つ。

たったこんな事が、こんなにも苦しいことだと思い出し、普通に生活できる事のありがたさ、幸せを、今まさに再び痛感しています。

最近は、本当に忙しく、心をなくす時もあり、他人にはあたらずとも、自分の中での心の消化が間に合わず、スノーボードも疲れで心から楽しめないこともあった。
8年前もそうだった。充実すればするほど忙しくなっていく。
どうして人は同じ過ちを犯すんだろう。

そうベッドの中で自問自答しています。

ただ、もう8年前とは違い、自分も成長しているし、たくさんの支えてくれる仲間もいます。
だから自分は強くありたいし、この怪我を無駄にはしません。

足を地面に付けるだけでも3ヶ月かかる今回の怪我で、スノーボードに戻るにはさらに長い時間が必要だし、目指していたイタリアパラにも間に合うかもわかりません。
そもそも今のまま順調にいけばメダルが見えてくるだろうか、というような綱渡り的なレベルであった事も現実です。

まだまだ、自分の中でも答えは見えませんが、
とにかくもがいて、
心を強く、穏やかにもつ。

ただそれを皆に少し甘えながらも、日々繰り返していこうかと思います。

すでに色んな方々に迷惑をかけましたが、これからも迷惑をかけると思うと、本当にたくさんの方に申し訳なく思います。

中々人生は上手くは行きませんが、絶対に進むことを諦めない。

応援してくれる皆さん、本当にすみません。

そしていつも本当にありがとうございます。

執刀してくれたDr.Campilloと
部屋からはカンプノウが。この綺麗な景色だけが救い。