イタリアワールドカップ

4月1,2日にイタリアcolereで行われたパラスノーボードのワールドカップ最終戦に参戦してきました。
2月に参加したフィンランドでは2戦とも4位で表彰台に立てず、手ごたえを感じつつも悔しい思いをしました。

そして今回のワールドカップ最終戦。
出国前にyukiyamaでハッキング問題がありその対応に追われてたことや、他にもコロナ禍で様々なスケジュール変更があり、ギリギリまでバタバタで遠征をキャンセルしようと半ば決めていました。
今自分がする事はこれじゃないと。

でも、周りの仲間たちに自分たちが全て対応するから行って来い、と背中を押され、大会に参加できるギリギリの日程で単身イタリアに向かいました。

正直、仕事の事で頭がいっぱいで気が気じゃなかったし、スノーボードもフィンランド後、隔離や撮影がビッシリ詰まっていて、まともに練習する事も出来ず、今思えば少しキャパを超えていたと思います。

初日は初めてのイタリアの山の壮大さに圧倒された

そして着いて1日の練習後、さっそく大会に入り、1戦目で全く振るわず、6位。
今回は世界のトップ4のうちの3人が前回のフィンランドでメダルとポイントをとっていたこともあり不参加だったため、メダル候補の選手は1人しかいなかったにも関わらず全く歯が立ちませんでした。

その夜、映像チームと、コーチ、そして他のチームメンバーが夜22時を過ぎるまで映像研究に付き合ってくれ、自分がコースの中で遅いポイントを徹底的に洗い出し、その対策まで一緒に立ててくれました。
自分たちも翌日試合だったのに関わらず。

そして2戦目。

昨日の1戦目の予選タイムが51.1秒だったのに、なんと49.5秒で予選を3位通過。
正直この結果には自分もびっくりしました。
心の中では、思いの他のシャバ雪のせいや、海外選手との体重の違い、障害の重さのせいにどこかでしていて、自分では気づかないうちに何かしら勝てない理由を探していたのかなーと。

で、結果は2位になり、初めてワールドカップで念願の表彰台に立つことが出来ました。

予選、セミファイナル、ビッグファイナルの様子

ゴール後に雄たけびが出るほど嬉しかったんだけど、何よりもすぐに頭に浮かんだのが、チームの仲間でした。

2,3年前までキャプテンを除いて全く世界の上位に食い込む事が出来なかったJAPANチームは、この数年で驚くほど速くなりました。
今回のワールドカップでも全員予選を上位通過していて大健闘していましたが、なぜかトーナメントの妙や時の運でビッグファイナルに進む事が出来ず、自分1人が決勝に挑む事に。

でもそれは全て、前日に混乱している自分のコース研究に付き合ってくれたチームの皆の結果のお陰でした。
おそらくあの時間を持てなければ2戦目も初戦と同じ結果になっていたはず。

スモールファイナルで先に出走した大地くん(キャプテン)もスタート前にゲートの上から「圭司君、下でカメラ構えて勝つの待ってるからな」って自分のスタート前なのに自分の事を気にしてくれて(とか言いながらもスモールファイナルはしっかり勝って5位に入ってるところも凄い)、こんなにも皆に立たせてもらった表彰台が嬉しいものなんだと。
昔は自分が勝つことしか考えて無かったんだけど、まさか40歳前になってこんな素晴しいことを再認識させてもらえるとは思ってもいませんでした。

自分は20歳くらいにプロになる前に5つの目標を立てました。
それは
『国際ブランドとインターナショナル契約を結ぶこと』
『シグネチャーモデルをリリースすること』
『日本トップのチームを作ること』
『雑誌の表紙を飾ること』
そして、唯一達成できなかったのが
『国際大会の表彰台に立つこと』
でした。

それを、脊髄損傷してスノーボードを諦め、39歳になってから昔叶わなかった最後の夢を叶えさせてもらえるなんて、なんて面白い人生なんだろう。
レースでこけた海外の選手が笑顔で言ってた『This is life.』という言葉と笑顔に心打たれたんだけど、まさかその後にこんな結果になるとは思っていなかった。
これもまた人生なんだなーと。

全ては温かく迎え入れてくれ、この3年弱一緒にやってきたチームの皆のお陰。

そして、日本で自分を送り出してくれた、数多くの仲間のお陰。

自分は多くの仲間に支えられていて、幸せな人生だなと思います。

簡単に勝てないつらさや、仕事とスノーボードの上手く行かないジレンマ、家族とほとんど一緒に入れないうちに大きくなっていく子供を見れないもどかしさ、忙殺されて自分の感情をコントロールできない苛立ち、人とのすれ違い。

多くの葛藤や苦しさを感じながらも、負けずに最大限、今、できる精一杯を続けて耐えてきた結果、ようやく心の底から「やった」と感じることが出来ました。

JAPANチーム、パラスノーボードの関係者、日本に居る全ての仲間、応援してくれる皆、本当にここに立たせてくれたことを感謝し、皆と関われたことを誇りに思います。

ここに居ないシンジやジュンタ、東山君たち皆でやってきたチーム。

そして、ここが当然ゴールじゃないことも分かってます。
北京パラリンピックに向けて、やらなければいけないことは山ほどあるし、その目標に向けて今できる精一杯をつねにキャパを超えながらやっていくつもりです。(母がいつも『いつもキャパの限界を超えようとしなさい、じゃないと人は成長しないから』とうるさく言われ続けてきた。笑)

とりあえず、今日から2週間は隔離なので、溜まりに溜まったデスクワークをこなしていきたいと思います。
仕事で負担掛けた皆、しっかり働くのでよろしくお願いします。笑

ただ、今は皆への感謝の気持ちを感じながらも、良い気分で入れることを幸せに感じます。
自分も周りをプッシュできる様な存在になって行きたいとおもいつつ、
とにかく皆にありがとう。

最終日に他国の選手たちと。幸せな時間でした。